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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(6)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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〈日本――3〉

 出会った当初のことを思い出しながら、アリサのことをぼんやり見ていると、不思議そうな目線を向けてきた。
「ん……? わたしの顔に、何かついているか?」
「いいや。アリサと初めて会った時のことを思い出していただけだ」
「そうか。わたしなんかのことより、この椅子、すごいぞ。こんなにもフカフカだ!」
 アリサは、革張りのどれだけ値が張るのかわからないソファに座っていた。お尻でその感触を味わい、感嘆した様子で背筋を正している。
 普段の騎士鎧と違い、女の子らしい洋服を着ているせいで、余計にその姿は魅力的に見えた。
 俺たちは今、新しい住まいでくつろいでいる最中だった。超高級マンションの一室――選ばれた者だけが住まうことを許される、最上階の部屋に、堂々と入室していた。
 エントランスからこの部屋に至るまで、制服を着た品の良い従業員たちが、歓迎してくれた。
 ホコリ一つ落ちていないカーペットの上を歩き、辿り着いた最も高級な一室が、この部屋だったわけだ。
 何畳あるのかわからないほどの広さ。
 俺たちのために用意された、どれだけ高価なのか測り知れない瀟洒な家具たち。テーブルの上には大ぶりの花が活けられた花瓶が置かれている。
 空気に漂う香りすら品がよく、まさに至極というべき空間だった。
「わあぁっ! 美しい風景ですわ! 宝石がちりばめられているみたい!」
 マリアは、全面ガラス張りの窓に両手をぺったりとくっつけて、眼下の風景を望んでいた。その瞳は、憧れる少女のように、キラキラと輝いている。
 外は暗くなり始めていて、最上階であるこの部屋から見える夜景は、とてつもなく豪華なのだった。
「さすがとしか言えないわね……ほら、これを見て! この箱に、こんなにも美味しそうな食材が用意されているわ」
 リリスは、キッチンにある大きな冷蔵庫を開けて、中をしげしげと眺めている。既に高級な肉や野菜が用意され、調理される時を待っていた。
「ハーナルがいたら、さぞ美味しい料理を作ってくれただろうな」
「彼女はまだ、こちらに来ていないの? シンヤが呼べば、すぐについてきそうだけれど」
「あいつはもう少し後に、こっちに来てもらうことになってる。ハーナルが来たらすぐに、そのキッチンでご馳走を作ってもらおう」
「楽しみね、シンヤ♡」
 リリスは完璧で魅惑的な笑みを浮かべる。
「わたくしの城より、豪華かもしれません! ありがとうございます、シンヤさまっ!」
 窓辺からマリアが嬉しさで居ても立っても居られない感じで駆けてきて、飛びつくように俺に抱き着いた。柔らかいふくらみが押し付けられて、ドキリとするが、それが表に出ないように努める。
「こんなのは大したことないよ。もっと素晴らしい所にこれからも連れていってあげよう」
「本当ですこと!? シンヤさまの妻に慣れて幸せですわっ! うふふっ」
 満面の笑顔を見ていると、幸せな気分だ。そんな表情にしてあげられることほど嬉しいことはなかった。
 俺とマリアがイチャイチャしているのを見て、残りの二人はちょっと不満そうにしていた。
「お、おい、マリア……少しくっつきすぎじゃないのか?」
 アリサはなんだか羨ましそうな表情でこっちを見ていた。
「そうやってシンヤの好感度をあげようとするなんて、マリアはあざとい子ね♡」
 リリスは見透かしたように言うが、マリアは心外とばかりに反論する。
「違いますわ、わたくしは本心を申し上げただけのことで……」
「い、いいから抱擁をやめろっ。はしたないぞっ」
「この程度ではしたないだなんて……アリサさんは潔癖すぎますわ。わたくしたちは何度も身体を重ねた関係ですのに」
 マリアは頬を膨らませて俺から離れ、近くにあった椅子に腰を沈めた。
「潔癖なんかじゃないっ、こ、これが普通だ……!」
「まあまあ二人とも、仲良くしましょ♡ シンヤの前で喧嘩だなんて、それこそはしたないわよ?」
「い、言われてみればそうだな……」
「その通りでしたわ」
 二人は反省したように黙り込んだ。リリスが収めてくれて助かった。
 場が整ったところで、俺は全員に声が行き渡るように話し出した。
「三人とも、聞いてほしいことがある。ここでの暮らしのことだ」
 女の子たちは従順に俺の顔を見つめ、次の言葉を待った。主である俺の言葉に従わないという選択肢は、とっくに彼女たちの頭からは消えている。
「みんなは、このニッポンにはまだちっとも馴染んでいない。この国の人々の考え方や、生活、決まりを知らないだろう? そんな状態で外に出るのは、危険なことだ。だからしばらく、準備が整うまで、勝手に出歩くことは、禁止する。俺と一緒か、俺が許可したとき以外、この城から出てはいけない」
「いいだろう」
「シンヤの言うとおりね♡」
「もちろんですわ」
 三人は、異存なく神妙に頷いた。
 俺の手の甲に刻まれた、王の証たる魔痕が、彼女たちがしっかり俺に共感していることを伝えてくる。
「準備には少し時間がかかるかもしれないが、そのうち外に出れるようにすると約束しよう。学校に通ったり、仕事をしたり……それぞれがニッポンの暮らしを楽しむことが出来るよう俺も手伝う。その最初の一歩として、三人に俺が名前を与えたい」
「名前、か?」
 アリサはどういうこと? という感じの顔をしていた。
「今のままの名前では、この国には馴染みにくい。このニッポンで暮らすのにふさわしいように、俺が名付けるということだ。まずはアリサ、お前の名前は、〈有紗〉(ありさ)だ」
 俺は部屋に備え付けてあったメモに、漢字でそれを書いて見せた。メモを切って渡すと、しげしげと眺めていった。
「有紗……これがこの国の文字か。なかなか格好いい雰囲気の字だ」
 アリサはそれを見て気に入ってくれたようだ。
「そして、リリス。お前は今日から、〈璃々〉(りり)だ」
「シンヤに新しく名前を付けてもらえるだなんて、嬉しいわ♡」
「そして、マリア。お前の外見はどう見ても日本人ではないけど、折角だから日本人らしい名前を付けよう。〈麻理亜〉(まりあ)。これが今日からの新しい名だ」
「なんだか、ニッポン人に一歩近づけた気がしますわ」
 三人とも、不満なく俺の命名を受け入れてくれた。
 俺は魔痕の効力で、彼女たちに無理な要求をしないと決めていた。
 彼女たちが嫌がることを強制的に受け入れさせることは確かに可能だ。しかし、そんなことをして彼女たちの意思を捻じ曲げることにあまり価値を感じていなかった。
 だから、彼女たちが新しい名を喜んでいるのは本当のことだ。共感の絆で繋がれているがゆえに、感性が似通っていくことはあるにしても、喜びの感情は彼女たち自身の中から湧き上がったものだ。
 これでようやく、三人をこの国に適応させる準備が整った。うまく適応できるだろうか? 特にアリサなんかは頑固だからちゃんと順応できるか不安だが、苦戦する様子を見るのもちょっと楽しみではある。
「さて、ハーナルがいれば夕飯を作ってもらったんだが、あいにくまだこちらに来るのに時間がかかりそうだ。今日の夕飯はこの国伝統の料理を出前で頼もう。その名も寿司だ」
「すし……どんな食べ物なのかしら?」リリスは楽しみそうにぺろりと唇を舐めた。
「温かい米の塊の上に、新鮮な生魚の切り身を乗せたものだ。美味しいぞ」
 その後、三人が寿司を食べ、驚愕の表情でその美味しさを喜んだことは言うまでもない。
 夕飯を食べ終わると、マリアはお腹いっぱいになったのか、ソファで静かな寝息を立てながら眠ってしまった。
「すぅ……」
 幸せそうな寝顔。アリサとリリスと三人で、頬をつついて遊んでも起きることはなかった。異国を練り歩き、慣れない地ではしゃいだ。きっと少し疲れているはずだ。放っておけば、きっと朝まで寝ているに違いない。
 布団をかけてあげて、そのまま寝かせてあげることにした。
「さて、そろそろ湯浴みをしたくなってきたわね。この近くに、綺麗な水の泉はあるかしら?」
「泉に行く必要はない。屋内にある風呂に入るのが、ニッポンに暮らす者のたしなみだ」
 俺は浴室に二人を案内しに行ったが、そこでも俺は設備の高級さに驚くことになった。
 まるで旅館のような広さの湯船、そしてシャワーなどが、部屋一つ一つに備え付けられていた。それぞれの機能を教えていくと、二人はいちいち感心するのだった。
「街にも似たような施設があったわね。あれは魔力で綺麗な水を生み出して、身体を清めるというものだったけど、こっちのほうがよほど便利だわ」
「湯船に浸かると気持ちがいいぞ。試してみるといい」
「シンヤと一緒に湯浴みをしたいわ♡」
「そ、そんな、男女で共に湯浴みなど……!」
「今日はそういう気分じゃない。また今度な」
「相変わらずつれないわね、シンヤは。でもそこがまた素敵だわ♡」
 リリスはうふふ、とすっかり俺に夢中な様子で微笑むのだった。
「このフロアの部屋は、全て俺たちのものだ。順番に、マリア、リリス、アリサ、俺、というように振り分けよう。基本的に寝るときは自分の部屋で寝るんだぞ」
「今晩は一緒に寝ない……♡?」
 体を寄せて誘惑してくるリリス。人ならざる存在である彼女はほとんど毎晩俺の身体を求めてくるから、言うことを聞いているとキリがない。彼女たちの王として、節度ある態度をとるべきだ。
 リリスの身体の柔らかさ、女らしい甘い匂い……それらを感じてムラムラしてくるのを隠して、俺は冷静にそれを拒否した。
「今日はダメだ。魔痕の疼きが本当に我慢できなくなった時だけにしろ」
「えぇ? 我慢できないから言ってるんじゃない♡」
「マリアもアリサも、ちゃんと我慢しているぞ。そんなにだらしがない女を近くに置いたつもりはない」
「素直じゃないんだから♡ でも、そういうところも好きよ♡ また明日、シンヤ」
 リリスは投げキッスをして、割り当てられた部屋に帰っていった。

〈日本――4〉
 
 俺は豪華な風呂に浸かり、高級な石鹸で体を洗い、身体を清めた。
 こんなにも荘厳な風呂に入ったのは初めてだったから、最初は緊張してしまって、それほどくつろげなかったけど、お湯につかっているうちに気分が落ち着いてくるはずだ。
 とりあえず、今日一日の出来事を思い返して、幸福感に浸る。
「ふぅ……それにしても、あいつらと日本で暮らせるだなんて……」
 異世界で出会い、山あり谷ありだったが楽しい冒険を過ごした彼女たち。マリアは冒険のパーティーに入っていたわけではないが、こちらの世界に連れ帰る時に真っ先に思い浮かんだわけで、仲が良かったし、魅力的な女の子だ。
 日本に来て、あんな風なリアクションをしてくれるのを見るのはなかなか楽しいものだった。これからどういう生活を遅らせるか、俺はしばし考える。
 アリサは、制服を気に入っていたみたいだった。女子高生として、高校に通わせてみるのは面白いかもしれない。マリアと二人で女子校に行かせてみたらどうなるか、想像すると笑ってしまう。
 リリスは、大人のお姉さんという感じで、女子高生という見た目ではないから、どうするか考えどころだった。三人の中では一番賢いし、普通に社会人として働かせてみるのもいいかもしれないが、これといった職業がまだ見つからない。
 色々考えているとのぼせてきた。
 気が抜けて、さっきまで律していた自分が、段々と緩み始める。
 三人といる時は、基本的に俺は我慢していた。あんな美人たちと一緒にいて、魔痕の力でいつでも俺の言うことを無理やり聞かせられるのだ。油断したら、セックスしかしない爛れた生活になりかねない。
 こうして一人になると、さっきリリスやマリアにくっつかれた時の感触を思い出して、股間が膨らみ始めてしまう。
 女の子たちは、近くにいるといい匂いがする。つけているだろう華やかな香りと、彼女たち自身の身体の甘い匂いが混ざった、なんともいえないそそられる匂いだ。
 柔らかいおっぱいの感触。三人とセックスしたときに何度も触ったり揉んだりしていたが、それでもああして体に押し付けられると、興奮してしまう。
 普段の生活での出来事だけでも、十分誘惑だらけなのに、彼女たちは積極的に俺を求めてくるのだ。魔痕を刻んだことによる副作用のようなものだ。
 おかげで、こんなにも律しているのに、ついつい俺は彼女たちと体を重ねてしまった。俺の身体を撫でまわし、俺をその気にさせようとあらゆる手を尽くしてくる彼女たちに負けてしまった。
 卑猥な言葉で誘い、体を差し出し、挿入を懇願してくる姿――脳裏に焼き付いてしまっていて、いつまでも俺は忘れられないだろう。女の子の秘所から漂う、発情を示すいやらしい香り、ぐじゅぐじゅに濡れそぼった蜜壺……こうして思い出していると、股間が完全に勃起してしまう。
 一人で浴室にいるせいか、独り言が出てしまう。
「やっぱりみんな、可愛いなぁ……あんな子たちが俺とセックスしたがるだなんて、今でも信じられないや」
 正直、俺は異世界に行く前、童貞だった。
 彼女が出来たことがなく、女友達ともそれほど仲良くすることもなく、そういうことには縁のない生活を送ってきた。
 そんな俺が異世界に言ったとたん、魔痕を刻んだ女の子たちから猛烈なアピールを受けたのだ。混乱する他なかった。最初に魔痕を刻んだハーナルに誘惑され、挿入を懇願され、童貞を卒業したときは信じられない気持ちだったものだ。
 今でも、女の子たちとセックスするときは、身構えてしまうし、誘惑されたら、どうしようもなく興奮してしまう。三人を前に堂々とし、誘惑をクールに拒んでいるのは、相当無理をしてのことだった。本当は、可愛くてかわいくて、セックスしたくてしょうがないのだ。
 勃起が止まらないまま、俺は風呂を出た。
 バスタオルで体を拭いて、部屋に用意されていたバスローブに着替える。バスローブの前がもっこりと盛り上がり、誰が見ても興奮しているのが丸わかりだった。
 こんな姿を三人に見られるわけにはいかない。今、リリスの部屋に行って襲い掛かれば、それこそ彼女は喜んで受け入れてくれるだろうが、そんなことをする気はなかった。彼女たちの支配者として、自分から求めるのでは格好がつかない。
 そういう風に考えて、大人しく勃起が収まるのを待とうとしていた時だった。施錠していなかった俺の部屋のドアが開き、申し訳なさそうに入ってくる人物がいた。
「シンヤ……その……」
 アリサは、ぼんやりとした顔で、俺を上目遣いしていた。瞳が潤み、口はだらしなく開いてしまっている。
 その下腹部に刻まれた魔痕が、限界を示して紫色の光を強めているのが、服の上からでもわかった。
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剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(5)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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 ハーナルは農産物を売りに通っているだけあって、街のことをよく知っていた。自信のある足取りで、ぐんぐんと進んでいく。
 俺はそれを信用してついていったが、入り組んだ道を進みながら段々と街の中心から離れつつあることに疑問を抱かざるを得なかった。
「さっきから、いくつ何件も武具屋を通り過ぎてるが大丈夫か」
「その質問を待ってました。えへん」
 ハーナルは人差し指を立てて、得意そうな顔をした。
「わたし、ちゃんと考えたんです。きっと、普通の武具屋さんは今、ほとんど品切れだと思うんです」
 確かに見た感じ、武具屋はどこも品薄で、完売してお店を閉めているところもあった。
 今この街にいるのは、ハーナルの父や兄のように、もともと武器を持っていないのにも関わらず召集された者たちや、今回の戦争で一稼ぎするために来た者たちが大半だろう。それにも関わらず、皆格好いい剣や盾、防具に身を包んでいる。彼らがこの街に到着して、真っ先に考えたのは、俺たちとおそらく同じ、ちゃんとした装備を整えること、だったのだろう。
 武具屋に殺到して、あっという間に装備、武器を買い漁ってしまった。
 もちろん、自慢の武器を持ち寄っている者たちもいるだろうが、少数派だろう。
 そういうことをハーナルに力説されて、納得させられてしまった。感心していると、得意満面な笑顔を浮かべた。
「えへへ、わたし、役に立ってますよね?」
「そういうことを自分で言われると、褒めてやる気も失せるな。あんまり調子づくようなら村に帰ってもらうぞ」
「その言い方はさすがにひどいですよぉ、折角いいこと教えてあげたのにぃ」
 頬をむくれさせるハーナルをあやすのは面倒だったが、勝手に喋り続けてくれるおかげで気まずくならないのは楽でいい。内心では、いい子だなと思っていた。
 さらに歩き続け、すっかり寂れた地区に来てようやく、ハーナルが立ち止まった。目の前には、人のいない廃墟があるのみだ。
「ここです。じゃーん」
「なんにもないじゃねえか」
「表には簡単に顔を出さないんです。知る人ぞ知るお店ですから」
 そう言って、ハーナルは廃墟の中へと入っていく。本当にこの村娘についてきてよかったのかと不安になりながら、俺は一人で待った。
「フレイさん、いますかー」
 そんなハーナルの声に、廃墟の中から別の声が答えた。
「おっ、ハーナルじゃないか」
 こんな廃墟だ。みすぼらしい人間が出てくるのかと思いきや、ハーナルに連れられて現れたのは、眼光の鋭い女だった。
「新しいお客さんかい? わたしはフレイ。武具屋、〈レージングル〉へようこそ」
 妙にボーイッシュな喋り方をする女だった。
 とはいっても、容姿は美人の類だ。長く伸ばした赤髪と、胸元を押し上げる柔らかそうな膨らみが、女であることを主張している。革の生地で出来た格好いい感じの服からも、すべすべとした白い肌が覗いている。
 フレイは、俺を妙な奴を見るような目でじろじろと見た。Tシャツにジーパンという、この世界ではありえない姿をしているのだから仕方ない。
「この男は昔話してた婚約者か? 村の農家の息子っていう。変わった服装をしてるな」
「違うんです。冒険者の方で、シンヤさんと言います。偶然わたしの家を訪ねてきて、今は案内してあげてるんです」
「ほう……? まあいい。あたしの考えたところだと、おそらくこの男の装備を整えに来たんじゃないかな?」
「そういうことだ。どんな装備があるか、見せてもらえないか?」
 俺が言うと、フレイは軽く唇を噛んで、どう言おうか考える素振りを見せた。
「うーん……実は今、この〈レージングル〉でも品を切らしちまってるんだ。どこの武具屋もそうだとは思うけどな」
「えぇ!? 品切れなんですか? そんなぁ……」
「おいおい、どうしてくれるんだよ、ハーナル」
「ご、ごめんなさい……ここまで来てもらったのに。許してくださいぃ……うえぇ」
 そこまで強く言った気はないのに、急にぐずぐず泣き出すハーナル。
「すぐ泣くなって。面倒くせえから」
「で、でもぉ……わたしが連れてきたせいで無駄足を……なんでもしますからぁ、ぐすん、おいしいご飯だけは、おいしいご飯だけはぁ」
「わかった、わかったって。だから一旦泣き止んでくれ」
 ハーナルが俺の足元にくずおれて泣くのを見て、フレイはドン引きしながらも困り顔で言った。
「お前ら、どういう関係なんだ? ……ともかく、武具自体は、実は、ある。だから泣くな」
「あるんですか!」ハーナルがぱっと顔を明るくする。
「あるんだが……とある事情で、売りに出せない状況でね」
「それは、俺たちが聞いていい話か?」
「〈レージングル〉の客には、この話をした上で物を売ってる。シンヤと言ったか、他の者に口外しないのなら、教えてもいい」
「もちろん黙っておくよ」
「ハーナルの友人なら信用できるな」
 約束すると、フレイはぶっ飛んだことを言うのだった。
「〈レージングル〉は、盗品で商売をしてるんだ。戦場で死んだ戦士たちが使っていた剣や鎧を拾い集めて売ってる。死人が着ていた鎧を着るのは薄気味悪い、と言う奴もいるが、あたしは気にしちゃいない。そして、わたしが客として相手するのは気にしちゃいない奴らだ。あんたはそうかい?」
 盗品での商売。だから、こんな辺鄙な場所に隠れ住んでいるのかと納得がいった。
 ハーナルが、再び申し訳なさそうに縮こまっている。
「そのこと、伝えないでここに連れてきちゃってごめんなさい……」
「別に問題ないよ。俺はそういうことは気にしないタイプだ。とにかく武器も防具もなくて困ってる」
「最近はそんな奴らばかりだ。あんたらみたいな、これまでまともに戦闘したことのない奴らが付け焼き刃の装備を買って戦場に出ると、あたしらが再び回収しに行くような羽目になることが多くてな」
 つまり、俺が戦死して、その死体から再び装備を剥ぎ取ることになると言いたいのだろう。ハーナルが見かねて口を挟んできた。
「失礼ですよ、フレイさん。シンヤさんは遠方の地からはるばる来た冒険者様ですからねっ!」
「冒険者か……そう名乗るのならば、多少は実力を認められているのだろう。いいだろう、それなら装備を売ろう。条件付きなら、タダでくれてやってもいい」
「タダでいいんですか!?」
 ハーナルは信じられないという風に言った。
 一方俺は、条件、という言葉に妙に引っかかっていた。何かわけありそうな話に引っ張り込まれるのを感じながらも、装備を手に入れるためならば、引き返すつもりはなかった。
 折角の異世界ライフ、魔物と戦って冒険するというのがロマンというものだ。多少の綱渡りくらいしないと面白くない。
「いったいどういう条件だ?」
「話に乗ってくれそうな手合いで嬉しいよ。さっき説明した通り、あたしは盗品商だ。そして、この街は戦争に向かって盛り上がっている。やることは一つに決まっているだろう」
「というと?」
「戦争開始までもうわずかだ。全身をしっかり装備で固めた戦士たちが、魔物退治のために一斉に戦場に出る。あたしの読みでは、魔物の大群に押されて、大半の戦士たちはそこで命を落とす。アスガルドの存亡も危ないと思っている」
 衝撃的な発言。相変わらず鋭い瞳をしたフレイがほらを吹いている様子はないし、その言葉には、彼女の経験に裏打ちされた確証がありそうだった。
 ハーナルはとんでもないとばかりに反論した。
「そんなことないです! みんな一生懸命準備してます。アスガルドは魔物たちの手に落ちたりはしません!」
「ああ、すまない。ハーナルの兄と父は戦場に向かうのだったな。彼らぐらいの実力があれば引き際を見極めて戻ってくることは出来るだろう。安心しろ。だが、アスガルド自体は十中八九、このままでは滅ぶぞ」
「どうしてそこまで言えるんだ?」
「それについては後で説明しよう。とにかく話を戻すと、戦場で多くの者が命を落とす。つまりあたしの買い入れ時ってわけだ。出来るだけたくさんの剣、槍、弓をかき集めたい。そこで必要になるのが、人手だ」
「手伝ってほしいってことか」
「もともと何人か雇おうと思ってた。装備を売れないというのは、〈レージングル〉自身が装備を身に着けて戦場に出るためだ。あんたがその一人になるというのなら、タダで装備をくれてやる」
 フレイの提案は悪くないものだった。
 俺はまだ自分の戦闘での実力を測り知れないでいる。最初は〈レージングル〉に協力しながら、戦場がどのようなものか様子見をするくらいがちょうどいいんじゃないだろうか。
「戦場で得た武器や装備を譲ってもらうことは出来るか?」
「もちろんだ。今回の戦争はかなりの大漁になる見込みだ。気に入ったものをいくつか持ち帰られてもどうってことはない」
「決まりだ。その話、受けよう」
「ありがとよ。戦争が始まったらまたここに来てくれ。その時に出来るだけ良い装備を渡そう」
 意外にも、おいしい話にありつくことが出来た。
「でかしたぞ、ハーナル。お前のおかげで色々うまくいきそうだ」
「えっ、そうですか? えへへ、急にそんなに褒められると照れちゃいますよぉ」
「それじゃあ、また会おう、シンヤ」
 フレイがそう言って、廃墟の中に戻っていこうとするところに、ハーナルが慌てて頼み込んでくれた。
「あー、そのことなんですけど……簡単な装備だけでいいので、シンヤさんに今渡してあげられませんか?」

〈ア―ク――4〉

 俺はフレイにもらった服を着て、ようやくこの街の風景に馴染むことが出来た。
 一般的な冒険者の服装。魔獣の革や毛で編まれた防具に、そこそこいい感じの剣や盾。着てみると、自分がRPGに出てくる勇者になったような気分で、ちょっと嬉しかった。
「やっぱりこっちのほうが格好いいですよ!」
 ハーナルも俺の姿を見て上機嫌になった。
 しかし、どうすればいいのか、と途方に暮れる物事に思い当ってもいた。
 ここまで、自分は転生者としてステータスが優遇されていると思っていた。実際、体力は以前よりはるかに高いのはこの街にたどり着くまでの徒歩でわかった。でも、一つ不安なのが、戦い方がわからないことだった。
 試しに、さっき剣を振ってみたのだが、いまいち体にしっくりこない。
「なんだかへっぴり腰じゃないですか?」
 ハーナルにもそう言われてしまい、不安になってしまった。
 女神に転生させてもらった際の言葉を思い出す。俺にはそちらの世界での一般人より高い能力が与えられる。そう聞いていたはずだった。どのくらい信用できるのかはわからないが、剣や魔法の技量はかなり高いものだと思い込んでいた。
 それがあまりあてにならなさそうだと、ようやく気付いたわけだ。
 とりあえず、さっき考えた通り、フレイと一緒に戦場に出て、様子を見てみるしかないだろう。
「次はどこに行きましょう、シンヤさん?」
 元気いっぱいのハーナルにそう言われても、なんとなくぼんやりしてしまっていた。
「……どうしましたか? もしかしてお腹空いちゃいました?」
「ご飯のことしか考えてないお前と一緒にするなよ」
「ひどいですぅ、ご飯以外のことも考えてますよぉ……」
 よく喋るハーナルの相手をしながら、そうして街を歩いている時だった。
 通りの奥の方から、何か大きな集団が近づいてくるのが分かった。
「騎士団様一行だ!」
「道を空けないと!」
 歩いていた人々が、声を張り上げ、道の脇へとよけていく。
 何がこっちに向かってくるのかと思って隣のハーナルを見ると、彼女もよくわかっていないみたいだった。
「誰でしょう? 偉い人かなぁ」
 もたもたしているうちに、その集団がすぐそばにまで来ていた。
 最初に目に入ってきたのは、輝く甲冑だった。キラキラと太陽の光に輝く騎士鎧を着た集団が、馬に乗って行進しているのだ。
「あっ、わたし思い出しました! 帝国から派遣されてきた騎士団様たちです」
「騎士団?」
「魔物たちの襲撃を食い止めるために、救援に来てくれたんです」
 ハーナルの説明を聞きながら、俺は騎士団の中の一人に目を留めていた。
 たった一人、目を引くその人物――女騎士が、一人紛れていた。頭部装甲を外した彼女は、栗色のウェーブする髪を風に揺らしている。
 その場にいる者たちは少なからず、紅一点の彼女に注目していたが、その視線を撥ね退けるようなつんとした顔で、一切笑顔を見せようともしない。
 馬に乗り、高いところから見下ろす彼女は、なんとなくプライドが高そうな雰囲気が出ており、あまりイメージはよくなかった。
 俺が見つめている人物に気づいたのか、ハーナルはニヤニヤしながら話しかけてくる。
「あの人、綺麗ですね。戦う女の子が好みなんですか?」
「いいや。騎士なんかやってる女なんて、ろくな奴じゃないだろ」
「そうですか? わたしは憧れるけどなぁ」
 これが、アリサとの出会いだった。
 まさか彼女と再会し、助けてあげることになるとはこの時は思いもしなかった。残念なことに予想通りプライドが高くてロクな奴ではなかったが、俺はアリサとハーナルと三人で初期パーティーを組むことになるのだった。
(つづく)
<書籍化>ふたなり女学園へようこそ 上<完全版>
<電子書籍>やんデレはーれむの作りかた 上<リライト>


剣と魔法の世界からお持ち帰りしました(4)

<INTRODUCTION>
「冒険の中で出会った女の子たちを、元の世界に連れ帰っても構いません」
異世界転移者シンヤは、魔王との最終決戦に勝利した――
魔王との勝負に勝利し、異世界での役割を終えた時、シンヤが女神に伝えられたのは、元の世界に戻らなければならないという残念な事実。その謝罪として、「異世界から気に入った人を連れ帰る」ことを許可される。
シンヤは、冒険の中で出会った女騎士のアリサなど女の子たちを日本に「お持ち帰り」していくのだった。

シンヤは人々を従わせ、配下とする王の力・〈魔痕〉によって異世界を救う英雄となったが、その魔痕は女の子たちを発情させてしまう効果を持っていた。節度ある王であろうと出来るだけセックスを我慢しようとするシンヤだが、可愛い女の子たちに誘惑され我慢の限界に達し……? 

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「ところで、俺はその戦争に集められたわけなんだが、一体何と戦うのか、詳しくは聞いてないんだ」
「えぇーー! 聞いてないんですか!? もちろん、魔物たちですよ!」
 素直に教えてくれる村娘に感謝しながら、さらに質問を重ねていく。
「魔物たち?」
「この近くに、魔物たちの巣食う地があるのはご存知ですか? アルヴヘイムという名の地です」
「アルヴヘイム」
「一度その地に赴いたものは最後、戻ってくることのできないと言われる恐ろしい呪われた地です。多くの魔物たちが棲み処とするその地から、最近魔物たちの一群が出てきて、行進を始めたんです」
「魔物たちの行進」
「どうしてその魔物たちが棲み処から出てきたのかは謎なんですけどね……冒険者様は、本当に何もご存じないのですね」
「ニッポンはとても遠い地でな。情報も伝わってこないんだ。……それで、その魔物たちが、アスガルドに近づいているというわけだな」
「はい。緊急事態ですよ! こんなことは、これまでなかったんですから。冒険者様たちが参集しているのはもちろん、遠くにある帝国からもアスガルドに騎士団が派遣されたらしくて、まさに厳戒態勢ですね」
 滔々と語るハーナルに、ふと疑問を抱いた。
「ハーナルこそ、よく知っているな」
「お兄様がわたしに話してくれたんです」
「もしかして、お兄さんは……」
「アスガルドに行ってしまいました。父と兄と、三人暮らしだったんですけど、二人とも戦士としてアスガルドに召集されてしまったというわけです」
 こんな家に娘を一人で置いて行ってしまうあたり、その二人の無神経さが伺える。
「なるほどな……っていうことは、この村に人が極端に少ないのも、男手が皆アスガルドに召集されたからか」
「そういうことです。でも、わたしは寂しくないですよ。戦争が終わったら二人とまた一緒に暮らせますし何より戦争で一稼ぎしてきてくれますから。普段より豪華な食事をできるのが楽しみです」
 口ではそう言って見せるが、その表情からは寂しさが拭いきれていない。このボロ屋で一人ぼっち、長いこと家族の帰りを待ち続けるのはさぞ辛いだろう。
 なんとなくハーナルに情が湧いてきてしまって、俺は一つ提案してみた。
「なあ、お願いがあるんだけど……アスガルドまで道案内をしてくれないか。方向音痴なんだ」
「冒険者様のお願いなら、喜んで引き受けます!」
「あと、しばらく街の中も案内してほしいんだ。どこに武器屋があって、どこに居酒屋があるのかとか。しばらく付き合ってもらうことになるけど、いいか?」
「ええ、もちろん! わたしなんかがご一緒するなんてお恥ずかしいです」
 ハーナルはわかりやすく嬉しそうな顔をして喜んでいたが、ふいに何か思い出したような顔をした。
「……あ、すみません。見ての通り、わたしは貧しい農家の娘なので……ほとんど、お金がなくて……」
「飯は全部おごるよ。その代わりに、ついてきて話し相手になって欲しい。それだけでいい」
「本当ですかっっ!」
 ハーナルは身を乗り出して驚いた。俺が頷くと、感極まったのか何なのか、突然ボロボロと泣き出した。
「うぇぇ……ぐすん」
「おい……おい、どうしたんだよ」
「う、うぇぇ……こんなに懐の深いお方に出会えるだなんて、生きてきてよかったですぅ……わたしは一生、この村で貧しい暮らしを続けていくものだと……ふえぇ」
「泣くなって、おい……パン食っていいから」
「えぇ……!? これは、冒険者様のために……わたしなんかが口にするなんて」
「街で買うから、俺はいらないよ」
「いぃんですかぁ……! あむ……うぅ、おいしぃ……! 丸パンおいしぃ……」
 ハーナルは嗚咽をあげながら余計にボロボロと泣き出して収拾がつかなくなってしまった。
「辛かったよぉ……わたし、やっと報われたんですね……神様ありがとうございますぅぅ」
 俺はハーナルの背中を撫でてあやしてやりながら、こういう可愛い娘を救ってあげられる立場にいられることに感謝した。これも、こちらの世界に転生できたおかげだ。

〈アーク――3〉

 しばらくくつろいだ後、ハーナルを連れて、俺はアスガルドへと向かうことになった。
 ハーナルはほとんど準備もせずに、俺についてきた。
「あんまり物を持ってないんです……」
 恥ずかしそうに言うが、考えてみれば俺も大して持ち物に恵まれてはいない。
 もう一度確認すると、服を除いてスマートフォン、定期券、ハンカチとティッシュしかない。この世界で使えそうなものは皆無だ。武器になりそうな物なんてちっともない。
 そのこともあってか、案内される道中、ハーナルが聞いてきた。
「そういえば、シンヤ様はどんな武器を使うんですか? 今は武器を持っていないみたいですけど……」
「うーん、なんでも使えるよ」
「え……? すごいですっ! そんな冒険者様がいるだなんて……ニッポンという国の冒険者様はみなそうなんですか?」
「あー、みんなってわけでもないかな」
 適当に誤魔化すのが段々面倒になってきていたけど、嘘をこのまま貫き通すしかないだろう。
 村からアスガルドへは、あまり遠い道のりではなかった。街の建物が見えて来ると、ハーナルは指さして喜んだ。
「もうすぐです! 結構歩きましたね。普段は馬で来るからもっと早く着くんですけど」
「アスガルドにはよく来てるのか」
「行きますよ。わたしたちは農家ですから、父や兄と一緒に、穀物や野菜を売りに行くんです」
「なるほどな」
「それにしても、冒険者様とこういう風にふたりで街に出かける日が来るなんて……ふふ」
 ハーナルは瞳をキラキラと輝かせ、ニヤニヤと頬を緩めている。素直に思ったことが顔に出る子だな、と思った。大学には、こんなに純粋な女の子はいなかった。
 どんな反応をするのかと、意地悪してやった。
「ニヤニヤするな、気持ち悪いぞ」
「そ、そんなぁ、ひどいです! 折角連れてきてくれたのに、冷たくないですか?」
 困り顔になるハーナル。ぐずぐず泣いたり、ニヤニヤしたり、困ったり、コロコロ表情の変わるハーナルは見ていて飽きない。
「いいから立ち止まってないで、案内してくれよ。飯をおごってやらないぞ」
「えぇ!? わ、わかりました……行きましょう!」
 慌てて歩き出すハーナルについていきながら、いちいち可愛い反応に俺がニヤニヤしてしまっていた。
 街に入ると、急に人通りが多くなった。人の声が重なってガヤガヤと響いている。
 目を引くのは、そこら中に施された、パーティーのような飾りつけだ。まるでお祭りのように賑わっているし、街も盛り上げようとしているのが分かる。
「賑わってますね! 普段はもうちょっと静かなんですけど」
「冒険者が訪れるから、商売も繁盛するってわけか」
 すれ違っていく人々の服装に俺は驚いた。
 皆、冒険者なのだろうが、RPGで出てくるような装いの者たちばかりだ。防御力の高そうな鎧で身を包み腰に剣を携えている男、法衣を纏い身の丈ほどもある杖を抱えている女。
 その光景に胸が熱くなって、ついつい俺は道行く人々をじろじろと眺めてしまう。
「すげえ……」
「各地から冒険者様たちが集まってますからね。わたしもこんなに人がたくさんいるのは初めて見ました」
「そうじゃなくて、服装だよ、服装。みんな、ちゃんと冒険者って感じの服を着てるじゃないか」
「ニッポンから来た冒険者様らしい人は今のところ見かけませんね」
「遠い地だからな。この服は動きやすさを重視した服なんだ……やっぱり俺目立ってるか?」
「えっと……言っていいのかわからないですけど、ちょっと浮いちゃってるかもしれません」
「だよな。よし、新しい装備を買いに行こう。武具屋に案内してくれ」
「こだわりがあってその格好をしていたわけじゃないんですか……?」
「いいから案内しないと飯は抜きだぞ」
「えぇっ!? それだけはやめてくださいよぉ。お願いしますぅ」
「あんまりくっつくな、暑苦しい」
 すがりついてくるハーナルを急かして、俺たちは武具屋へと向かった。
(つづく)
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